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京都地方裁判所舞鶴支部 平成7年(ヨ)1号 決定

主文

一、本件申立を却下する。

二、申請費用は債権者の負担とする。

理由

一、本件申立の趣旨および理由は、別紙申立書記載のとおりである。

二、一件記録によれば、

1. 債務者につき平成三年三月一日に破産宣告があり、破産管財人が選任されており、破産手続は未だ終了していない。

2. 仮に債権者の請求債権が存在するとしても、いずれも破産法一五条所定の破産債権である。

三、右によれば、本件申立は、その余の判断をするまでもなく、破産法一六条により不適法である。

よって、主文のとおり判決する。

申立の趣旨

債権者の債務者に対する別紙目録記載債権の執行を保全するため別紙目録不動産に対する債務者持分一一分の三を仮に差押さえる。

申立の理由

一、被保全権利――損害賠償請求権

1. 債権者は債務者に対し、別紙目録のとおりの貸金債権を有しているが、債務者は平成三年三月一日破産宣告をうけ、目下平成三年第一号事件として、御庁に係属している。右についての異議訴訟において、債権者の債権は別紙目録のとおり残元本七一八〇万七六五一円、利息損害金二二四万二七五九円の債権が確定した。右債権は同時に詐欺取材の結果によるものであって、今後免責されるようなことは考えることができない。

ところが債務者の夫安田英は平成六年四月八日に死亡し、別紙目録記載のとおり膨大な不動産を残し、債務者は韓国民法第一〇〇九条により、別紙相続表のとおり、その九分の三を相続するにいたった。処が破産手続は遅々として進まず、債権者は膨大な資産に対し何一つ手を下すことができなかった。

二、保全の必要性

ところが登記簿を調査すると、安田英の財産の内山林他五筆はカモタ建設に売買されているので、電話で聞きあわせたところ、長男和広が建築するのにその代金の一部として建設会社が所有権を取得したとのことであり、また死亡の直前三月一七日株式会社日総なるものに担保に供せられていることが判明した。同社は尚調査の必要があるが、安田英の弟の会社であって、その死亡の直前自ら死を予期し、債務者に対する債権者の弁済を困難ならしめる目的でなした債権者詐害行為に類するものであるまいかと推測される。従って債務者は受刑中で、自由が奪われている状態であるからといって、何時他に処分されないとも限らないので、取り敢えず財産の散逸をさけ、後日の執行を保全して置く必要があるとおもわれるので、ここに本申請に及ぶものである。

尚保証金に関しては確定債権による差押である上、財産の価値も既に三億円を超える担保の対象となっており、予期される破産廃止に備え、言わば総債権者のための意識をもってなしている申請であるから、保証金は無償の扱いを得たく、もしどうしても保証金が必要ならば、一〇〇万円程度で可能な迄請求金額を減額する用意があるので、これらを考慮の上御決定相成度。

請求債権の表示

一、金七一、八〇七、六五一円也

ただし左記ABCDE合算した平成三年三月七日現在貸金残元本

〈1〉昭和六二年一〇月三日貸付 元本二〇〇〇万円の内昭和六三年一月四日残一七、五二〇、二五一円

〈2〉昭和六二年一一月四日貸付 元本八〇〇万円の内同日残七、二三二、八五一円

A 上記〈1〉〈2〉合算の上平成二年六月一八日現在 超過支払六〇三、三四三円

〈3〉昭和六二年一〇月一五日貸付 元本一〇〇〇万円の内昭和六二年一二月二二日残八、八九三、二〇一円

〈4〉昭和六二年一〇月二二日貸付 元本二〇〇〇万円の内同日残一八、〇八二、四五五円

B 上記〈3〉〈4〉合算の上平成三年三月七日現在 残一〇、三〇三、五五八円

〈5〉昭和六三年六月一八日貸付 元本二〇〇〇万円の内昭和六三年九月二〇日残一七、五二七、三五二円

〈6〉昭和六三年七月二〇日貸付 元本二〇〇〇万円の内同日残一八、〇九〇、一二〇円

〈7〉昭和六三年八月二〇日貸付 元本一〇〇〇万円の内同日残九、三二六、二四六円

C 上記〈5〉〈6〉〈7〉合算の上平成三年三月七日現在 残三七、七二二、五五四円

〈8〉昭和六三年一二月三日貸付 元本一〇〇〇万円の内

D 平成三年三月七日現在 残八、七三七、五〇八円

〈9〉平成元年二月一〇日貸付 元本二〇〇〇万円の内平成元年三月二九日残一八、六二八、八二二円

〈10〉平成元年二月二八日貸付 元本四〇〇万円の内同日残三、七二五、七六四円

E 上記〈9〉〈10〉合算の上平成三年三月七日現在 残二二、三五四、五八六円

仮に差押うべき不動産の表示〈略〉

相続関係一覧表〈略〉

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